「はっ、本当にあんたは偉そうだな」
吐き捨て、杖をリョウへ突きつけた。
「いつも人を見下しやがってよ。少しくらい強ぇからって、いい気になんなよな!」
ニノのリョウに対する敵意……それを皆へ悟らせるのに、今の態度は十分過ぎる。 紅玉へ魔力が蓄えられた事から、ニノの敵意は深いと、誰の目にも明らかだった。
「何だ、その態度は。リョウに謝れ!」
ガイラスが詰め寄って、ニノの襟首を掴み揺さぶったが、怒りを物ともせずに余所を向いている。謝る気は更々無いようだ。
「その辺で止めておけ。ここで口論した所で意味はない。……鍵を得るのが先決だ」
どういう訳か、リョウはニノの敵意自体には咎めず踵を返す。感情より責務の方が何より優先だと、その背中が示していた。
現時点で、人食い箱に対抗出来る力量を持つのはリョウのみ。仲間を部屋の端へ控えさせると、残る宝箱を具に調べてゆく。
「無い、な」
最後の一つを確認した後、直ぐ閉じた。
どの宝箱も、中身は副葬品には及ばないガラクタばかり。少額の金銭がいい所だ。 やはり、リョウが最初に睨んだ通り罠だったらしい。幾つかは、人食い箱だった。
流石といおうか、一人で対処していた割りに、リョウは大した傷を負っていない。 |