小説(雷霆) | ナノ
俗物の天人(31/51)
 
 意志を確かめ合う三人。その後ろで、熱風が吹き荒れた。何事かと、見れば……。

「おおーーっ! 乾燥してっだけあって面白れぇくらい燃えてやがるぜっ」

 ……ニノがミイラ男に対し、情け容赦無い“ベギラマ”を放っているではないか。
 仲間の会話が聞こえていなかったというより、寧ろ聞こえていたからこそだろう。

 故に嫌がらせと見て、間違えない。

 この男へ、繊細な感覚を求めること事態が、“馬の耳に念仏”というものである。

 仲間達の軽蔑で満ちた視線。軽蔑というより、最早これは、嫌悪といってもいい。
 そんな冷たい視線も、例によって例の如く、ニノの方は痛くも痒くもないようだ。

 調子絶好調で破壊の限りを尽くすニノの顔には、満面の笑みが浮かべられていた。

「何故あのような真似が出来るのか、俺には理解しかねるな」

「ガイラス、あいつって最低だ!」

 尤も過ぎる二人の抗議に、ガイラスは返す言葉もなく、頭を下げるしかなかった。
 


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