「確かに、死者を冒涜しているようで後味悪いが……。“在るべき場所”へ送ってやると考えて割り切ってゆくしかなかろう」
傀儡の魔から解放すれば、肉魂も黄泉へ還れる。理屈では分かるが、人間であった者との戦いなど、成る可くなら避けたい。
押し黙ったガイラスとライの表情には、そういった心情が刻まれてるようだった。
「そう、嫌な顔するなよ。俺とて同じ気持ちだが、仕方ないではないか」
「うん……。ごめん」
「そうさなぁ。元凶は、バラモスのクソ野郎だ。一刻も早く大将をぶっ倒して、ここの奴らを還えしてやろうじゃねぇか!」
「ガイラスの言う通りだ。我らの成すべき事は、彼らの冥福にも繋がるのだからな」
俯くライの頭へ大きな手が添えられる。
見上げれば、リョウの優しい眼差しが向けられていた。振り向くと、ガイラスが意気込みで力強く頷いているのが目へ映る。
(僕って、駄目だな。いつも教えられるばっかりで……もっと、しっかりしなきゃ)
二人が仲間で良かった……と、思う。
不意に、胸へ広がった感動。二人の心根に触れて、ライの目頭が熱くなってゆく。 |