「これは推測だが、アンデットと雖も傀儡に過ぎぬからだろうな」
傀儡。つまり、生命を持たざるものを、宛も、生きているかのように操る魔術だ。 核に死肉を纏った魔物と違い、意思も持たず、ただ動かされているだけだという。
アゾナンゴビーの時とは違い、倒すのに聖なる攻撃も要さない。動きを止めるように砕いてしまえば、それで済むのである。
「それだと先に入れ物を作らなきゃいけないんでしょ。随分と手間な事するんだね」
「いや、ファラオならば殉葬も行われているだろう。恐らく魔物の元は、殉死者だ」
「するってぇと何かい? ここのアンデットは、人間だってのか」
問いに、リョウが無言で頷いた。それを見るや否やガイラスの顔も青褪めてゆく。 二人の会話の意味が分からず、ライは首を傾げると、ガイラスの腕を引っ張った。
「ねぇ、じゅんそう……って、なに?」
「つまり、お偉いさんが死ぬと、家来も後を追わせるつぅ風習だ。生きたまま、な」
「酷いことを。それを聞いちゃったら、戦いたくないんだけど……」
当然な反応だ。真面な精神の人間なら、良心の呵責と葛藤するのが、普通だろう。
落ちてゆく視線が、自然と先ほど倒したミイラ男へと注がれる。ライは元より、ガイラスも同意見らしい。苦い顔のままだ。 |