「平和の貢献になるなら差し上げても構いませんが。ですが、余りに危険な場所。誰かに取りへ向かわせる訳にはなりません」
「ならば、我々にピラミッドへの立ち入りをお許しください。自ら取りに参ります」
リョウの瞳に、強い志が滾っている。
それが、伝わったのだろう。ネフェルティツィは、観念したように頭を振り……。
「分かりました。許可、致します」
……と、立ち入りの許しをくれた。
次なる目的地は“ピラミッド”と。
足早に退出してゆく一行を見送った後、ネフェルティツィが、側近を呼びつけた。
「あの方、何処かで会った気がしてならないのです。……覚えていませんか?」
一瞬、誰の事か分からずにいた側近だったが、暫くして「あっ」と、声を上げる。
「確かに、似ていましたが……。それなら向こうも、それなりな反応をする筈です」
全くの初対面に対する素振りだ、と。
そう、側近が解釈しても、ネフェルティツィは腑に落ちないらしく、首を傾ける。 そんな主の姿を見ても尚、側近は“他人の空似ですよ”と、決めつけるのだった。 |