――天井が高く造られているのは、厳しい日差しを避ける為だろうか。其処彼処に引かれた水路が、目にも涼しさを与える。
オアシスを中心に、礎を築いた都。幾千年の歴史を持つ砂漠の楽園――イシス国。
「ど、どうも」
水を注いでくれた女官に、礼を述べたライの視線は、所在無く下へと落ちてゆく。 それでも視界の端で揺れる乳房が気になるのか、俯いたまま視線を外せずにいた。
(みんな、恥ずかしくないのかなぁ)
同性と雖も、戸惑うのは無理も無い。
この国の人々は、男女共に半裸だ。身に纏っている紗に、身体を隠す機能は無い。 秘められた場所までもが、透けて見えるのだから目のやり場に困る、というもの。
「いい国じゃねぇか」
ぽつりと洩らされたガイラスの呟き。
ニノに至っては、側に居るだけで異様な熱気を感じる。色欲に興奮をしているのだろうか、熱っぽい息遣いが聞こえてきた。
ニノは、これ以上無い位のスケベ面だ。 口は半開き。今にも、端からヨダレでも垂れてきそうな、酷い崩れっぷりである。
(スケベッ、最低!)
湧いた苛立ちを乗せ、繰り出したのは肘鉄。真面に食らったニノが呻きを上げた。 |