小説(雷霆) | ナノ
俗物の天人(20/51)
 
「どこが“素早くはない”だーーっ!」

「飛んでる奴なんて無理だってば!」

「うわっ、こっち来んな! お助けっ」

 案の定とでもいおうか、逃げ惑う三人。

 キャットフライを狙おうにも、地面は慣れない砂地。おまけに巨大鋏攻撃が吹き荒れるのだから、叫ぶのも当たり前である。

「君らは……」

 喉元まで出掛かった、叱咤。それを飲み込むと、リョウが技を構えた。狙う先は、大空を自由に飛ぶ……キャットフライだ。

「御免!」

 言ったと同時、ガイラスの肩を踏み台にすると、空中で跳び膝蹴りを繰り出した。
 キャットフライの絶命を確認すると直ぐに、リョウは地獄の鋏へと狙いを定める。

 依然として、スクルトの効果は解けていないが、そんな些細なことで、二の足を踏む男で無いのは、仲間達も知るところだ。

「これなら、避けられまい!」

 地獄の鋏、その甲羅の上へと降り立つ。

 構えが示すもの。それは、一点へ集中させた闘気を以て敵を打つ、急所突きという技。気合いと共に抉る拳が甲羅を貫いた。
 


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