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俗物の天人(17/51)
 
「スパルタで済むかよ。ここいらの魔物はヤベェんだって!」

「魔物って強いのか?」

 ルーラでの移動。それに加えて、まだ一度も、この地域の魔物と遭遇していない。
 自分達も強くなってると、高を括る仲間達の気を削ぐように、ニノが首を振った。

「オレは、鍛練で何度も放り込まれんだから痛ぇくらい知ってんだよ!」

 “強さ”ではなく“厄介”なんだ、と。

 当時のこと思い出したのだろう。このクソ暑い中、ニノは、ブルッと身震いする。

「特に、鳥猫と蟹がなぁ」

「トリネコって……なんだよ」

 ライの突っ込みも尤もだ。空へ絵を描くように、説明を始めたニノ。そこへ……。

「なぁそれって、あれのことか?」

 ……ガイラスが指し示した先。

 大空を優雅に旋回していたのは“キャットフライ”という魔物だ。猫の体に、羽根を持つ魔物が突如として見せた、急降下。

 ニノのフード目掛け、鋭い爪を立てる。

「うわっお! 何しやがんだ、鳥猫っ」

 フードこそ奪われたが余裕のありそうな態度から見て、怪我はしていないらしい。
 


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