「スパルタで済むかよ。ここいらの魔物はヤベェんだって!」
「魔物って強いのか?」
ルーラでの移動。それに加えて、まだ一度も、この地域の魔物と遭遇していない。 自分達も強くなってると、高を括る仲間達の気を削ぐように、ニノが首を振った。
「オレは、鍛練で何度も放り込まれんだから痛ぇくらい知ってんだよ!」
“強さ”ではなく“厄介”なんだ、と。
当時のこと思い出したのだろう。このクソ暑い中、ニノは、ブルッと身震いする。
「特に、鳥猫と蟹がなぁ」
「トリネコって……なんだよ」
ライの突っ込みも尤もだ。空へ絵を描くように、説明を始めたニノ。そこへ……。
「なぁそれって、あれのことか?」
……ガイラスが指し示した先。
大空を優雅に旋回していたのは“キャットフライ”という魔物だ。猫の体に、羽根を持つ魔物が突如として見せた、急降下。
ニノのフード目掛け、鋭い爪を立てる。
「うわっお! 何しやがんだ、鳥猫っ」
フードこそ奪われたが余裕のありそうな態度から見て、怪我はしていないらしい。 |