「だがよ……お前さん達は奴の正体を知って、どう思ったんだ?」
それにより見方が変わるのが怖いと、ガイラスはそのことだけが気懸かりらしい。
馬鹿だ、阿呆だと謗っても大切な弟である。ガイラスの立場からすれば、ニノが偏見を持たれるのは我が身の如く辛いのだ。
窺う目には、微かな怯えがある。
「うん。僕、ちょっぴり吃驚したけど、ニノが何者だろうと気になんかしないよ」
「そうだな。出鱈目な奴だが、大切な仲間には違いない」
「お前ぇら……」
呟いたその後で、ズズッと鼻を啜る。強面に似合わず、涙脆いようだ。二人の言葉を受け、ガイラスが煩い男泣きを見せた。
感動屋で弟思い。粗雑だが、気の良い男だと、二人は可笑しさの余り、噴き出す。
「わ、笑うこたぁねぇだろ!」
照れ隠しなのか“ばつが悪い”といった具合で、ガイラスが腕を組み余所を向く。
それが、更なる可笑しさを呼んでしまったようだ。ガイラスの願いと反して、暫くの間、笑いが止む事は叶わないのだった。 |