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俗物の天人(12/51)
 
「だがよ……お前さん達は奴の正体を知って、どう思ったんだ?」

 それにより見方が変わるのが怖いと、ガイラスはそのことだけが気懸かりらしい。

 馬鹿だ、阿呆だと謗っても大切な弟である。ガイラスの立場からすれば、ニノが偏見を持たれるのは我が身の如く辛いのだ。

 窺う目には、微かな怯えがある。

「うん。僕、ちょっぴり吃驚したけど、ニノが何者だろうと気になんかしないよ」

「そうだな。出鱈目な奴だが、大切な仲間には違いない」

「お前ぇら……」

 呟いたその後で、ズズッと鼻を啜る。強面に似合わず、涙脆いようだ。二人の言葉を受け、ガイラスが煩い男泣きを見せた。

 感動屋で弟思い。粗雑だが、気の良い男だと、二人は可笑しさの余り、噴き出す。

「わ、笑うこたぁねぇだろ!」

 照れ隠しなのか“ばつが悪い”といった具合で、ガイラスが腕を組み余所を向く。

 それが、更なる可笑しさを呼んでしまったようだ。ガイラスの願いと反して、暫くの間、笑いが止む事は叶わないのだった。
 


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