小説(雷霆) | ナノ
俗物の天人(11/51)
 
 遠退いてゆくニノの悲鳴。……厳しい仕置きを処せられるのは、想像に難くない。

 叫びを見送り、リョウが眉を顰めた。

「君が尊敬するだけあって、素晴らしい父君だが……ニノの安否が些か気になるな」

「親父は怒らすと見境がねぇからなぁ」

 十字を切り、祈るガイラス。あの怯えようは、強ち冗談で済まないと思えてくる。

 ガイラスが言うには、あの師弟は昔からあのような感じだとのこと。スパルタというよりも、“豪快”と、括るべきだろう。

 半端ないな、と……リョウが苦笑する。

「もう、ニノは……大丈夫だよね?」

 話の最中、ニノが見せた表情。恐れを宿した顔を思い出し、ライが心配を深めた。
 見慣れないニノの落ち込んだ姿に、実の所ライは、ずっと戸惑っていたのである。

「ああ。立ち直りが早ぇのが、唯一の長所だから心配ねぇと思うぜ」

 不安そうな目をするライの頭を乱暴に撫でると、ニッと、白い歯を見せて笑った。
 


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -