「はっ、オレは人間じゃねぇってか。マジでオカマの言う通りなのかよ」
ガックリと、力無く下げられた頭。楽天家のニノと雖も、ショックは深いようだ。 その様子を見ても、ダルダスは顔色一つ変えず、真っ直ぐな視線を外さずにいる。
「早計、前々から人の話はよく聞けと言っておるだろう。天人は男女間から生まれてないだけで、本質は人間とそう変わらん」
まるで、落ち込むニノを嘲笑うかのように、ダルダスは淡々とした語り口だった。
「ただ、な。神より、強大たる魔力を授かっているのだよ」
不意にダルダスが、杖を指差して……。
「これは伝令杖。“カドゥケウスの杖”という名だ。凡そ十六年前──といっても、覚えていないだろうが。お前は競りに出されていた時も、この杖を手に握っていたのだよ」
……と、述べる。また、杖は天人の証であり、守護なのだと説明を教え聞かした。
「答えになってねぇっての。天人っうのは何で神に創られたんだ? オレは……」
「恐慌を予言されし時。神が、地上へ遣わせる魔術の申し子――と、云われておる」
“神が遣わせた”という、ダルダスの言葉を聞き、ニノの瞳が驚きで見開かれた。 |