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ロマリアの死闘(29/31)
 
 ――次は何処に向かうべきか。

 宿の食堂で旅の指針を話し合う中。ニノが、「ちょっといいか」と、腰を上げた。

 大変、珍しい光景だ。怠慢、傍若無人が服を着ているようなニノ。当然ながら真面目な話となれば上の空なのが常なのだが。

「あのさ、アッサラームに行かね?」

 そう言った顔は、真面目そのもの。

 ニノはだらけているか、不貞腐れているか……大概、そのいずれかだ。今の表情は“珍しい”というより初めて見せる顔だ。

 突然の申し出と表情に、ライとリョウが面食らうのも、当然といえば当然だった。

「構わないけど……?」

 間を置き、ライがリョウの反応を窺う。

 リーダーとでもいおうか、的確な判断を下せるのは、リョウを於いて他にいない。
 考え倦ねているのだろう。リョウは、地図に目を走らせながら、腕を組んでいる。

「俺の仕入れた情報によると、西の関所を通過するには、特殊な鍵を用いるらしい」

 ……と、教え聞かせた。

 常に旅の先を見越すリョウの姿勢は、本当に頭が下がるというものだ。稍もして、リョウの視線がガイラスへと向けられた。
 


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