――次は何処に向かうべきか。
宿の食堂で旅の指針を話し合う中。ニノが、「ちょっといいか」と、腰を上げた。
大変、珍しい光景だ。怠慢、傍若無人が服を着ているようなニノ。当然ながら真面目な話となれば上の空なのが常なのだが。
「あのさ、アッサラームに行かね?」
そう言った顔は、真面目そのもの。
ニノはだらけているか、不貞腐れているか……大概、そのいずれかだ。今の表情は“珍しい”というより初めて見せる顔だ。
突然の申し出と表情に、ライとリョウが面食らうのも、当然といえば当然だった。
「構わないけど……?」
間を置き、ライがリョウの反応を窺う。
リーダーとでもいおうか、的確な判断を下せるのは、リョウを於いて他にいない。 考え倦ねているのだろう。リョウは、地図に目を走らせながら、腕を組んでいる。
「俺の仕入れた情報によると、西の関所を通過するには、特殊な鍵を用いるらしい」
……と、教え聞かせた。
常に旅の先を見越すリョウの姿勢は、本当に頭が下がるというものだ。稍もして、リョウの視線がガイラスへと向けられた。 |