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ロマリアの死闘(28/31)
 
「ライ? どうした、急に黙り込んで」

 怪訝に覗き込むリョウの顔は、出会った頃から変わらず優しい。その優しさは、ライにとって失いたく無い宝となっていた。

(でも気付いたからって何になる? リョウは僕を“男”と思ってるんだから……)

 普通に考えて“同性”から想いを寄せられても、迷惑の一言に尽きるというもの。
 もし拒絶されたらと、そう考えただけで胸の奥が、焼け付くような痛みを覚える。

 ……だからといって“女”と知られようならば、勇者としての称号を失うだろう。

 称号を失えば、祖父に非が及ぶと。

 支援金が払われなければ、強欲な母は、祖父の養護を怠るのが、目に見えている。
 自分へ、最初に“愛”を与えてくれた人を守るため……想いを封じると、決めた。

 ベッドから身を離すと、一歩、二歩と、後退しながら、努めて明るい笑顔を装う。

「とにかく、無理は止してね。僕も負担にならないように、精一杯、頑張るから!」

 それだけ告げ、自分の想いを知られぬように。ライは、部屋を後にしたのだった。
 


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