小説(雷霆) | ナノ
ロマリアの死闘(27/31)
 
「……酷使するのは」

「うん?」

「体を酷使するのは感心しない。努力と無茶は違うって――リョウの言葉だよ!」

 突きつけられた言葉に、ハッとした。

 数ヶ月前、ナジミの塔での探索中。無理をするライへ、諭す為に己が伝えた言葉。
 仲間を、ライを守ろうとする余りに、持論を曲げていたと……思い至ったようだ。

 謝罪に、リョウが深く頭を下げた。

「その通りだ。すまなかった」

「お願いだから、人のことばかりじゃなくって自分も気遣って。僕はリョウを……」

 “失いたくない”

 続けようとした言葉に、心臓が跳ねる。

 リョウの声が聞けるのが嬉しいと、姿があるだけで、熱く甘い想いが疼くことに。
 それが、リョウを失いたくない“理由”だったと、高鳴る胸の内が教えてくれた。

 “仲間”として、では無い。“異性”に対して抱いて当然の、自然で素直な感情。

(そうか、やっと分かった。これが、“好き”ってこと……なんだ)

 呪文の手ほどきを受けた際の、ニノが言った“相手を思いやる心”と、いう教え。
 その言葉を思い出し、成功を叶えたのは愛情だと――リョウへの想いだと悟った。
 


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