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ロマリアの死闘(26/31)
 
「リョウ……! 起きて平気なの!?」

 跳ね起きた、次の瞬間には腕へ縋り、心配そうな視線を、真っ直ぐと向けてくる。

「心配かけたな。すまなかったね」

「謝っても駄目なんだからっ! 全然、目を開けないから……不安だったんだよ!」

「大丈夫だ、俺は。君がくれた回復呪文のおかげで、ね」

 そう言い、優美な笑みを湛えて見せた。

 リョウの笑顔を見れて、安堵したのだろうか。頬を、大粒の涙が滑り落ちてゆく。

 嗚咽を懸命に堪え、首に抱きついた。

「うん。無事で、本当に良かっ……た」

「……くっ、苦しいんだ、が」

 密着する小さな体が、小刻みに震えることに気付き、宥める手が腰へと回される。

 頬を掠める髪から漂う、甘い匂い。

 細いが、柔らかな体。か弱く、いたいけな姿だが、その身で懸命に使命へ立ち向かっているのだと、改めて確認させられた。

 言い表せないような感情に戸惑った末、「……参ったな」と、いう言葉が洩れる。
 それ以上、叙情を示す事を躊躇ったのだろう。黙秘を守るだけの刻が過ぎてゆく。

 暁が白ばむ陽光へと、変わる頃。ライが僅かに体を離し、漸く腫れた顔を上げた。
 


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