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ロマリアの死闘(21/31)
 
「何故……見抜いたの? ……あたしのまやかしの術を……」

 焼け膨れた瞼が、ニノへ一心に向けられた。恐らく視力を失っている……だが、問わずにはいられないと、睨みを効かせる。

 その様を、薄い笑みで返してやった。

「投げキッス。あれを受けた奴へ見た目を変換させてんだろ。オレん時と同じくな」

 それ故にリョウの攻撃が跳ね返ったのが何よりの証拠だと、得意げに鼻を鳴らす。
 ニノの見解に、オキカメマラが噴き出したが、一頻り笑った後、その顔は次第に脱力で伏せられた。完敗、といった具合だ。

「ふ、ふふっ。……その通りだけど、普通の人間なら、仲間の姿をしてる者には躊躇うはずだわ。……化け物なだけあるわね」

 負け惜しみに呻くオキカメマラの首へ、斧の刃が当てがえられた。何度となく弟を愚弄された、ガイラスの憤りは凄まじい。

「化け物は貴様だろうがっ!」

「あらあら。やっぱり、知らないのかしらね……天人は……人げ……ぐふぅっ!!」

 何かを言い掛けたが、そこで事切れた。

 針の如く集結させられた魔力。閃熱の弾が心臓を貫いたのである。唱えたニノに表情は無く、敵の死も確認せず身を翻した。

「ニノ……?」

 様子が変だ、と。……窺うライを手で払い退け、顔を隠すようフードを深く被る。

「下らねぇお喋り訊いてる暇、無いない」

 口調だけは、いつもの軽さ。フイッ、と足を進め、リョウの傍らへひざまづいた。
 


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