「お前ぇ……。もしや分かったのか!?」
「まぁな。随分とえげつねぇ真似してくれんじゃん。反吐がでるぜ」
唾を吐き捨て、またも項垂れる。
「気障でムカつく野郎だし、助けんの気乗りしねぇけど。一応、仲間だしな〜」
「お前は、なに言ってるんだよ!」
頭を抱え、ぶつぶつと呟いていたニノだったが、ライに食って掛かられた途端、顔を上げて、敵へ一直線に杖を差し向けた。
「万が一、見当違いだったら許せよな!」
“腹を括った”とでもいうような顔付きだ。顎を上げて、オキカメマラの姿を見据えるや、杖の先端から黒煙が吹き出した。
蜷局を巻く赤黒い炎――中級火炎呪文メラミである。真っ直ぐ放たれた火の玉が向かった先は、オキカメマラでは無く仲間であるリョウ。高熱の火炎がリョウの全身を包み込むと、一瞬にして燃え上がらせた。
「な……なんてこと……を」
「お前ぇ……仲間を殺すのか!」
「ちょっ、が、ガイ……にぃ……く、苦しいっ! お、落ち着けってばよーーっ!」
ガイラスの馬鹿力で絞められては、適わない。絞めた手を解こうと必死に暴れる。 足をばたつかせながら、これまた必死な様子でオキカメマラのいる方を指さした。
「これが落ち着い……あ゙ああーーっ!」
釣られて、つい敵を見たガイラスが、けたたましい叫びを上げたのも無理はない。
未だ消えぬ炎に、のた打ち回っていたのはオキカメマラ。その傍らに、重傷だが気を失っているだけのリョウが倒れていた。 |