力対力。押さえ込むガイラスと払おうとするオキカメマラ。僅か、力は敵が上なのか、ガイラスの足が後ろへ引き擦られる。
「“弟”って、言っていたわね? あれは化け物よ。なにせ……」
「ニノは化け物なんかじゃねぇ!」
柄を反転させ、刃を敵の腕へと振り下ろす。切断された腕は暫くの間、痙攣していたが……稍もして、その動きも止まった。
「が……ガイ兄ぃ」
「ぼさっとしてんじゃねぇよ。お前ぇは魔法で援護してくれや!」
情けない声を上げるニノから顔を背けたまま“邪魔だ”と、言うように手で払う。
オキカメマラへ、炯眼を向けた。
「天人に勇者、他もなかなか。せっかく頂いた任命だけど……少々、分が悪いわね」
「天人だの、化け物だのと訳分からんことばかり言いやがって。何だってんだよ!」
独り言のような呟きにガイラスが憤りを露わにするが、オキカメマラの方は質問に答えようとせず含み笑いを浮かべるのみ。
“何か”を思いついたのか、オキカメマラが、不意にガイラスから視線を外した。 |