「格好つけやがってよ。弱音吐かない所がマジ可愛げねぇな」
唾を吐き捨て、斜眼でリョウを睨んだ。
ニノからすれば、決して挫くことの無いリョウの気性が面白くないようだが……。
「退いてな。こんな雑魚虫は、オレ一人で十分だ!」
勢いよく言い放ち、杖を差し向ける。
「イオラーーーーッ!」
爆発系は術者の“負”に依存する為、威力は、先の比では無い。その場にいる者は皆、揺れに堪えきれず地面へ手をつき、爆風が舞い上げる塵屑に、視界を奪われた。
「掃除終了っ! 後はテメェだけだぜ」
「さすが、ね」
手駒の殲滅が悔しいのだろう。オキカメマラが顔を歪ませ、唇を噛み締めている。
「創り出された“化け物”の力は!」
たじろいで見えたのも、一瞬。
地面を這い、オキカメマラが狙うのは当然、ニノ。鋭い爪が振り下ろされた時だ。
「クソ野郎が……っ! 手前ぇなんざに、弟を“化け物”呼ばわりさせやしねぇ!」
当たるか寸前。ガイラスはニノの前へ躍り出ると、斧の柄で爪を抑え捩じ上げた。 |