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ロマリアの死闘(15/31)
 
「幾ら、あの方が下した命とはいえ、四人も相手にするのは骨だわね」

 そう言うと、頭を反らせて大きな孤を描く。頭部から生えた百足が離れると地面に落ちた途端、キャタピラーへと変わった。

「気色悪ぃ技だな、おい」

「う、うん。雑魚だけど厄介だね」

 全長百センチはある巨大芋虫、キャタピラーは表皮が恐ろしく固いのだ。おまけに体力も高い。それが大凡、五十体はいる。

「邪魔されては適わん。片付けるぞ!」

「無理しないで! リョウは……」

 言葉を途中で飲み込み、代わりに小さな叫びを洩らす。……衣服の背が、斜め一文に裂かれ、肌が抉られているのが望めた。

 長袍の暗赤色に、誤魔化されていた傷。

 立っていられるのが、不思議なくらいの深手だが、それをリョウは気力だけで持ち堪えているのである。ライの心配を払うためか、悠然とした笑みを浮かべて見せた。

「リョウ。お願い……こいつらは僕達が片付けるから、下がって!」

「何を言うか。これしきの傷、俺には問題ではない!」

 ライの制止を振り切り、にじり寄るキャタピラーへ、次々と回し蹴りを食らわす。
 


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