肩胛骨から斜め内へ突き刺した剣に満身の力を込め、抉るよう外へと引き裂いた。 残っていたもう片方の翼。肩胛骨から繋がる翼の骨にも、影響があったのだろう。
支えを失い、だらりと翼が垂れ下がる。
最早、飛べないと。そう判断したのか、オキカメマラは自らの手で、翼をもいだ。 飛ぶ能力を封じ、こちらが有利……と思われたが、翼の負荷が無い分が仇となる。
瞬くような速さで、地面を這うオキカメマラ。狙いを定められたのは、リョウだ。
「美形さん、さようなら!」
鋭い爪が空を裂き、獲物に向かう。
触れるか否やで身を翻すリョウ。柔軟に体を反らす。それを見越していたらしい。
上回る速さでリョウの背へ爪を立てた。
「リョウ!」
傷は深い。だが、僅かに体を揺らしただけで、堪え凌ぐ。一旦、間合いに後退するが、拳を引くと直ちに攻撃へ切り替えた。
垂直に腹へ食い込む拳……正拳突きだ。
オキカメマラから、水が詰まるような不快な音がする。リョウが離れた、と同時に身を捩らすと口から多量の胃液を吐いた。 |