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ロマリアの死闘(14/31)
 
 肩胛骨から斜め内へ突き刺した剣に満身の力を込め、抉るよう外へと引き裂いた。
 残っていたもう片方の翼。肩胛骨から繋がる翼の骨にも、影響があったのだろう。

 支えを失い、だらりと翼が垂れ下がる。

 最早、飛べないと。そう判断したのか、オキカメマラは自らの手で、翼をもいだ。
 飛ぶ能力を封じ、こちらが有利……と思われたが、翼の負荷が無い分が仇となる。

 瞬くような速さで、地面を這うオキカメマラ。狙いを定められたのは、リョウだ。

「美形さん、さようなら!」

 鋭い爪が空を裂き、獲物に向かう。

 触れるか否やで身を翻すリョウ。柔軟に体を反らす。それを見越していたらしい。

 上回る速さでリョウの背へ爪を立てた。

「リョウ!」

 傷は深い。だが、僅かに体を揺らしただけで、堪え凌ぐ。一旦、間合いに後退するが、拳を引くと直ちに攻撃へ切り替えた。

 垂直に腹へ食い込む拳……正拳突きだ。

 オキカメマラから、水が詰まるような不快な音がする。リョウが離れた、と同時に身を捩らすと口から多量の胃液を吐いた。
 


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