「あ、あははっ。やっぱり、僕の魔法なんかじゃ、ニノみたいに……消せなかった」
「ばーか。ありゃ、天才オレ様だから出来る芸当だっての!」
いつもの軽口を叩き、親指を立てた。
先程まで、オキカメマラの言葉に、顔を曇らせていたのが、もう態度も普段通り。
……切り替えの早さは、流石だ。
「先手必勝ってな。あのオカマ野郎は、長引かせるとヤベェからなっ!」
頷いたライの顔を両手で包み込むや、唇についていた霜を指先で拭いてやる。それを舐め、ニノは蕩けそうな笑顔を見せた。
「なっ! ……す、スケベッ」
「はいはい、スケベで結構。つか、あんまり喚くと他に聞こえるぜ」
グッと息を飲み、周りに目を走らせたが今のやり取りは見られてなかったようだ。
(全く、こいつは。見直して損した!)
顔が赤いのは、怒りか、照れか。
確信的にスケベ行為をかますニノから、プイッと、顔を背けると、剣を握り直す。 湧いた感情を振り払い、体重の全てを乗せた剣先を、オキカメマラに突き立てた。 |