根本から切断された片翼が、辺りに灰色の羽根をまき散らせながら地面へ落ちる。 血まみれた刃を、二、三度、振るったガイラスの背後から、出足を踏んだリョウ。
完全なる死角、そこから技に入る。
低い位置より、懐へ体を滑り込ませ、腹部に加えた一打。唯でさえ、並外れた力に“鉄の爪”の刃が乗せられては堪らない。
「ぐふぁっ……!」
遂にオキカメマラが、呻き声を上げた。
内蔵をやられたのか、口端から筋を作る血反吐。前と違い攻撃が効いてるようだ。
よろめき下がるが、直ぐに手を広げた。
集まってゆく、氷の結晶。氷結呪文の発動に気付き、ライが咄嗟にギラを唱える。 先のニノが成した事を手本に。だが相殺は出来ず、炎は氷によって掻き消された。
相殺の失敗は、術者へと返るのが常。
降り注ぐ氷の刃にライの身は凍らされ、キラキラとした霜が紫のマントを染める。
「……ライ!」
“何か”を考え倦ねてたニノ。しかしライの体が崩れそうになった途端、弾かれたように地面を蹴り、その体を抱き止めた。 |