小説(雷霆) | ナノ
ロマリアの死闘(12/31)
 
 根本から切断された片翼が、辺りに灰色の羽根をまき散らせながら地面へ落ちる。
 血まみれた刃を、二、三度、振るったガイラスの背後から、出足を踏んだリョウ。

 完全なる死角、そこから技に入る。

 低い位置より、懐へ体を滑り込ませ、腹部に加えた一打。唯でさえ、並外れた力に“鉄の爪”の刃が乗せられては堪らない。

「ぐふぁっ……!」

 遂にオキカメマラが、呻き声を上げた。

 内蔵をやられたのか、口端から筋を作る血反吐。前と違い攻撃が効いてるようだ。

 よろめき下がるが、直ぐに手を広げた。

 集まってゆく、氷の結晶。氷結呪文の発動に気付き、ライが咄嗟にギラを唱える。
 先のニノが成した事を手本に。だが相殺は出来ず、炎は氷によって掻き消された。

 相殺の失敗は、術者へと返るのが常。

 降り注ぐ氷の刃にライの身は凍らされ、キラキラとした霜が紫のマントを染める。

「……ライ!」

 “何か”を考え倦ねてたニノ。しかしライの体が崩れそうになった途端、弾かれたように地面を蹴り、その体を抱き止めた。
 


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