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ロマリアの死闘(7/31)
 
「あれは!」

 外の異変へ馳せられたライの目。

 城門付近に、幾つもの松明が揺らいでいるのが確認できた。兵士達が武器を手に取り囲んでいる、その中心にいるのは魔物。

 それを捉えたライの瞳が揺れた。身体に刻まれた恐怖が、まざまざと蘇ってくる。

 半人半鳥の魔物――オキカメマラだ。

「あいつ、僕達を追ってきたのか!」

 手強い敵だ。事実、あれの所為で全滅へと追い込まれたのだ……と。そう思った瞬間、当に癒えた筈の腹が痛んだ気がした。

(怖い……。だけど!)

 膝から崩れそうな震えを、辛うじて堪えると、壁に立て掛けられた剣を手に取る。

 “勇者として行うべきことは、一つ”

 据えられた鏡に映るのは、父の形見である蒼き宝玉の額飾りを填めた、自分の姿。

 蒼い輝きが、微かな勇気を湧かせた。

 覚悟を決めたのだろう。紫のマントを羽織り武具を整えて、顎を窓の方へ向ける。

 ……僕には、仲間達がいるから。

 “勇気”を確かなものとする為、そう唱えながら仲間の部屋へと向かうのだった。
 


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