(もしかしてニノってば、本当に本気で僕のことを好きなのかなぁ)
柔らかいラグに顔を埋もれさせ、ぼんやりと考えた。ニノがリョウへ敵対心を抱いているのは、ライも気付いていたが……。
(だけど、あいつの言うことって、いまいち信用できないんだよね)
体を表へ返し、天井を見る。
相変わらずニノは、可愛い女の子を見つければナンパに走る。アリシアに対しても“あわよくば”という思惑は見て取れた。
その癖、ライへのチョッカイは一向に止めない。唯の女好きか、ライを本気で好いているのか、判断がつかないのも無理はない。しかし、今日の邪魔の答えは一つしか無いと、色恋に疎いライでも理解出来た。
(あれが、嫉妬ってやつなの? でも、僕はリョウのことを……)
蝋燭に照らされ仄暗い中で、微かに浮かび上がる染みを見るもとなしに見詰める。
(ううん、やっぱ分かんないや。好きだけど、この気持ちが“恋”なのか、なんて)
経験した事のない感覚だ。ただ、リョウを思い出すだけで、胸にこみ上げる熱さ。 男を拒絶し女である事を否定せざる得なかったライには、この“熱さ”が何を意味するのか、答えは杳として見つからない。
時刻は夜半を過ぎた頃。考えに疲れ、身を起こした時だ。窓から、松明と覚しき灯りと共に、騒がしい物音が聞こえてきた。 |