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ロマリアの死闘(5/31)
 
「お前も来るの? 珍しいね」

 無意識に、声色は低音へ変わる。邪魔立てをする気でいるのを気付いたのだろう。

 ライの不満も意に介さず、鼻で笑った。

「いいよな、別に」

「ああ、異論無いが……では、行こうか」

 リョウも、ニノの動向を怪訝に感じたらしいが、敢えて突っ込まず歩みを進めた。


 軽業師の催しを楽しんだ後は町巡りだ。

 さすが王都というだけある。ロマリア城下町の栄えは、アリアハンの比ではない。
 他国との交流がある為、其処彼処にある店は、ライが見た事の無い物が立ち並ぶ。

「ライ、どれか欲しい物があったら……」

「おっ、これ笑えね?」

(さっきから、なんだよ。こいつは……)

 喉元まで出た言葉を、グッと堪えた。顔を赤くするライ、一方のニノは訳の分からない玩具を突きつけ、せせら笑っている。

 何度目か、数えるのも馬鹿らしい。


 ……リョウがライの側へと近付こうとすれば、ニノが必ずそれを断ちにくるのだ。

(あーもう、なんかムシャクシャする!)

 当然ライが存分に楽しめなかったのは、言う迄も無い。……また、リョウがニノの意図を知る由無いのも言う迄も無かった。

 宿屋へ戻る頃には、ライの気疲れもピーク。グッタリと、長椅子へ身体を沈めた。
 


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