「相変わらず、哀れになるくれぇ弱っちぃな。捕まった方が身のためじゃね?」
「だ、黙れ! 誇り高きカンダタ盗賊団、このままじゃ終わらねぇぜっ」
大斧を振り回し、ポーズを決めた。意気込みだけは買うが、逐一ウザいと言える。
「へーっ、誇り高いのに女の子のお風呂覗いたりしちゃうんだー」
「自惚れるな! あれは、お前の魔物から逃げた先に、偶然風呂があっただけだ!」
アリシアの皮肉を込めた言葉に、カンダタは大斧を向けながら、頭を上下させる。 舐めるような視線、とでもいおうか。一頻り、下劣な馬鹿笑いを立てた後で……。
「魔物女は巨乳だとか、小僧が実は女で色が綺麗だったとか興味はないんだぜい!」
……と、またもや斧を振り回した。
「しっかり見てんじゃない」
「色……。どこがか詳しく訊きてえなっ」
「な、何を言ってるんだ、貴様はーー!」
湯気が立つ勢いで、ライの顔が忽ち真っ赤になる。カンダタが、ライ達の入浴を如何に“じっくり”と見ていたかは明白だ。
剣を構え猪突のように振り払ったが、腐っても盗賊。巨漢だが、なかなか素早い。 ライの剣を躱しながら着いた先。アリシアに目を止めると、突如逃げ足を緩めた。 |