爆音に紛れ、甲冑らの叫喚が聞こえた。
舞い上がる塵に鎧のパーツ、床へ突っ伏した甲冑の手下を見て、ニノがブイサインを示すと、アリシアが手を叩き歓喜する。
「わぁっ、凄い威力っ!」
「まっオレ様、天才だしぃ……うわっお」
「後ろ! 横へ退け!!」
難を逃れた手下の剣がニノへ振り下ろされる、それに気付いたライは突き上げ阻止する。鋭い剣先が、顎ガードを破壊した。 「馬鹿、注意力無さ過ぎ!」
「そう言うなっての。じゃあ、もう一発っと。イオーーーーッ!!」
術名を挙げた直後、可燃性瓦斯が爆発を呼び起こす。これには、敵も唖然とするしか無いというもので。通常魔法とは、魔力を集め、元素を術として構築させ、それらが整って漸く術名を挙げる、といった流れを要するもの。即ち三つのアクションが必要とされる為、魔法にはどうしても僅かなりとも時間が掛かる筈だが――さすが自ら“天才”と宣うだけあってか、ニノの場合そんな僅かな時間すらも生じない。正に、息を吸うかの如く発動を叶えるのである。
そんな訳だから、魔力を集めた段階で気付いても時既に遅い。哀れ手下は避ける間もなく爆破に巻き込まれ、全員気絶した。
「はっ、運動にもならねぇな」
「うん、凄いスゴいっ! あとはー……」
「貴様だけだ。カンダタ!」
早くも、三対一。たった一人残されたカンダタが歯軋りを立て、後ずさりをした。 |