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貴婦人と盗賊団(6/31)
 
「あの王様。少し、おかしいよな」

「それをいいなさんなって。……ところでよぉ、リョウとライは何処にいるんだ?」

「リョウなら……あっち」

 ニノの顔には“不愉快”の文字がしっかりと刻まれている。スッと顎先で指した一角。貴公子姿のリョウを取り巻いているのは、蝶よ花よと見紛う大勢の貴婦人達だ。

「おっ、随分とモテてるじゃねぇか!」

 頻りに感心を示すのは、ガイラス。

 確かに、リョウは長身な上に極上の美形である。女性の関心を惹くに十分なのだ。

 モテるのも当然、と頷いている。

「……あんなの顔だけじゃね?」

「僻むんじゃねぇ。素材の差っうやつだ」

「はっ! 魔物シメる時のおっかねぇ面をよ、女の子ちゃん達に見せてやりてぇぜ」

 不機嫌も最高潮のニノ。ペッと、唾を吐き捨てると、詰まらなそうに壁に凭れた。
 何の気なしに顔を背けた先。丁度、その時、人並みが、沸き上がった事に気付く。

「なんかあったか?」

 ホールの入り口。どうやら、たった今、訪れた者が騒ぎを起こさせているようだ。
 


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