「……正直、命拾いしたな」
ニノは、玉ように流れる冷や汗を拭き溜め息をついた。手強い敵だったと。運が味方した。それが無ければ負けていたのだ。
「あれの最後の言葉、バラモスはライの存在を知ってる……ということだな」
「あんなのが、この先もオレ達の命を狙いにくるのか。は〜っ、マジ勘弁しろよな」
「面白ぇじゃねぇか。片っ端からやっつけて、魔王の野郎に一泡ふかしてやろうぜ」
アゾナンゴビーの核があった場所に目を向けながら、ガイラスは斧を差し向ける。
「望むところだ。魔王の野望など、この拳で打ち砕いてくれよう!」
勇ましく拳を掲げるリョウ。それこそが我らが歩むべき道だ、と意志を宣言した。
「そん中には当然オレも含まれちゃってる訳ね。かったりぃけど、マジになるか」
然も“面倒臭い”といった具合で、杖で肩を叩くニノだが、仕方なく同意を示す。
(……みんな)
アゾナンゴビーの脅しにも屈しずに、討伐への決意を、新たに固める仲間達を目の前にして、ライは言葉も出せずに俯いた。 |