「無駄無駄むだ! そんな攻撃、おれ様に効くわけねぇ!」
尾を横に振り回し、リョウを払おうとする。当たったか……に見えたが、手をついた地面をバネに、体を回転させて躱した。
「やはり簡単に核を触れる事は適わぬか」
「化け物、これならどうだ!」
後退したリョウを見て、奮い立ったのはガイラス。長斧を掲げて、突進する。頭部目掛けて振り下ろされた、刹那という間。 ガイラスの目に飛び込んできたのは、限界まで開かれた、アゾナンゴビーの口だ。
吐かれたのは、暗緑の息。それを真面に食らって、掛け巡る毒素に片膝をついた。
「馬鹿だぜ。てめぇから息の範囲に飛び込んでくるとはなぁ!」
「ち……畜生!」
「ガイ兄っ! ……化け物、調子こいてんじゃねぇぞ!」
睨みを効かせたニノ、手にした杖を軸に熱流が渦巻いた。元素から変質させたのは燃え盛る、火の玉。火炎呪文メラである。
……垂直に向かう火は、直撃する寸前で敢えなく、息により吹き消されてしまう。
「おらおら! クソチビ、それでも勇者一行かよ。大した事ねえぇなぁっ」
捉えられたニノに逃れる隙は無く、身を守るよう翳された腕ごと、噛みつかれた。 |