最前に位置するリョウ。臆する事無く、再三の蹴りを加えたが稍もして後退する。
「やはり、アンデットだ。闇雲に攻撃しても意味は無い!」
「アンデット?」
「聖なる術か、その属性を持つ攻撃……もしくは、核(コア)を破壊するしかなかろう」
「ま〜こうゆう場合は回復呪文とかな」
豊富な戦闘知識を持つリョウと、万物を紐解くニノは互いに頷き合う。見解に間違え無いと。後退しながら、ライの横についたニノ。“ホイミかけてやれ”と告げた。
「む、無理だよ! 僕、覚えてない!!」
「なんだって!?」
ガイラスが驚きの声を上げたのも無理はない。勇者にしては規格外の事実である。
回復呪文と攻撃呪文を、バランス良く扱えるのが“勇者”という者。しかしライには至っては、どう足掻こうとも、魔力を魔法に体現させることが不可能だったのだ。
(僕が、本当の勇者じゃないからだ。魔法すら出来ないのが証拠……だよね)
押し黙り俯くライは余りに無防備というものだ。押し退け、リョウが前線に出た。
「ならば核を破壊するしかあるまい!」
炯眼を光らせ、観察する。あるとすれば頭蓋骨……そう考え、正拳突きを入れた。 |