「しかし、派手な登場のわりにゃ呆気ないじゃねぇか」
身を裂かれて痙攣しているアゾナンゴビー。余りの手応え無さに、ガイラスは物足りないようなことを言いながら近寄った。
「死んじゃ、いねぇみたいだな」
点検してるガイラスの横から、ニノも共に覗き込む。明らかに、瀕死に見えたが。
「離れろーーーー!!」
……と、ニノは叫びを上げた。
声に驚き呆けたガイラスを突き飛ばしたニノが、身を守るかのように杖を掲げた。 分かれた部分から泡が立ち腐臭は更に増してゆく。ゆっくりと上げられたアゾナンゴビーの顔は、何故か満足そうに見える。
「おれ様も間抜けよ。貴様等が何者か考えれば直ぐに分かったのになぁ」
百八十度の回転した首が、ライの方に向くとグラリッと垂れ下がり回転を止めた。
「封印を解ける奴っていえば、勇者に他ならねえよなぁ。……なぁ、小僧?」
「……僕は」
不自然な曲がり方に怯えを示したライ。
アゾナンゴビーは、それを見逃さなかったようだ。愉快そうに歯を鳴らしている。 |