「人間てのは脆い……!?」
言い掛けた、その眼前に突如として広がったのはリョウの姿だ。疾風を宿らせた蹴りは避ける余地を許さず、真っ向から衝撃を受けた頭が、後ろへ大きく仰け反った。
「畜生、仲間がいやがったのを忘れ……」
有り得ない方に曲がった頭を、戻そうと揺らしている。文句も中途、今度は突然に半身を失う。ガイラスの剛腕を一身に込めた長斧が、胴を二股に分かれさせたのだ。
「二人共、大丈夫か!?」
リョウの腕に支えられ、ライの目が弱々しく開く。まだ、朦朧としているのか、譫言のように「平気だ」と繰り返している。
一方、ニノの元へ来たのはガイラスだ。
「お前ぇは、いつまで寝てやがんだよ!」
「つか……オレ、怪我人なんだけどよ」
「なんでぇ、起こしてやってるだろうが」
優しい腕など一切与えられず、代わりに子猫のように首根を掴み上げられたニノ。 これでもガイラス曰く、介抱した部類に入るのだから、ニノの嘆きは尤もである。
手荒い兄を睨み、ガックリと項垂れた。 |