「ニノ、これ……これって!」 興奮して呼び掛けたが、返事など不可能だった。ニノは棺桶手前ギリギリである。「と、とにかく回復しなくっちゃ」 ――漸く、黄泉比良坂から帰還を果たしたニノ。もの凄い目で、リョウを睨んだ。「ったく、マジ死ぬかと思った」「すまなかったな。しかし、ライに断りもせず持ち出した、君にも非はあるぞ」 シレッと言われて、ニノは息を飲む。「……そりゃあ、オレが悪かったけどよ。 せっかくだから、驚かせてぇじゃんか」「ニノ……お前」 ペンダントに目を落として、顔を緩ませた。外した鎖を、ライの首へ掛けてやる。「あいつらとの思い出だからよ。あんたが持ってんのが、一番いいしなっ」 ライの胸元で、美しく輝くペンダント。 それに負けないくらい煌めいたニノの金と紺碧に、ライは何故か胸を熱くさせた。「あ、ありがとう」 恥ずかしさの余り、ライの視線は下へと落ちてゆく。目の端に見えたのは、香珠。 リョウとの絆を繋ぐ香珠。ニノとを結ぶペンダント。更にそれは、遠く遠い時空間の彼方にいる、ルティア達を繋いでいる。 美しい賜物で繋がれた絆に、様々な想いを抱きながら、天へ瞳を馳せるのだった。La Fin