◇後日談 夜の自警団◇ ――ルティア達との別れより、数日後。「ちょっと! ニノは何処!!」「喧しいなぁ、朝から何だってんだよぉ」 眠気眼を擦りながらの大欠伸。全く意に介さないガイラスに、つい掴み掛かった。「何処行ったの!? あいつは!」「うんあっ? そういゃあ、いねぇなぁ」 隣のベッドを確認して、豪快に大笑いをかます。……頼りにならない兄貴である。「でよぅ、なんだって朝から喚いてやがんだ? また何か、やりやがったのかよ」「あーーーーっ! もう、最低っ」 大袈裟なまでに頭を揺さ振り、拳を固めた。怒り心頭に発する、といった具合だ。「ルティアから貰った菫青石(アイオライト)が盗まれてたんだ。犯人は、あいつだと思う」 最後に菫青石を確認したのは、一昨日だと。ライの声色が、震えを増す。ガイラスは溜め息を吐きながら、頭を掻き毟った。「じゃあ諦めた方がいいぜ。やつは昔っから家のモン、持ち出しては売り捌いてやがったんだ。その道の奴にも顔が利くしな」 ガイラスの言葉を聞き、ライの顔から血の気が引いてゆく。絶望的な色を満面に浮かべて、力無く其の場に、ヘタリ込んだ。