cross×時空間の果て×cross | ナノ

cross×時空間の果て×cross(7 / 65)

 
 ◇夜の自警団◇
 
「ふぅん、オルテガの……な」

 嘘などついていない瞳。真っ直ぐな、それでいて揺るぎない瞳である。一方、ツゥと口端を持ち上げた、ニノ。左目の紺碧が更に深みを増して、妖しいまでに輝いた。

「教えてやってもいいけどよ、高いぜ」

「それは、どういう意味でしょうか?」

 気丈に返してきたルティアに、ニノは眉を上げて、ヒュウッと軽快な口笛を吹く。

「そりゃま、金じゃねぇのは確かだな」

 ニノの指がルティアの唇へ近づいた……

「ニノ、見つけたよ! もう、逃げられないんだからねっ!!」

 ……突如と開かれた店の扉。同時に放たれた声に、ニノの顔色は瞬時に青褪める。
 入ってきたのは、ルティアに何処と無く似たものはあるが、かなり小柄な少女だ。

 ニノにとって何より大事な少女である。

「お前って、ホント最低っ! ダルダスさん、凄ーく怒ってたんだからね!!」

 ルティア達に全然気付かず、少女はニノに詰め寄り、頬を膨らませて、むくれた。

「や、悪ぃ悪ぃ。つか、あんた一人?」

「うん、みんなはアッサラーム。ダルダスさんに、“時空通路が乱れてるから一人で行きなさい”って、言われたんだもん!」

 そこまで、一気に捲し立てると、漸く、ルティア達の存在に気付いたようだった。
 

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