◇杜 夏月◇「と、とりあえずさ!自己紹介だよね?僕は、サザル。元は僧侶だったんだ」あまりの場の盛り下がり様に、動揺しつつ。金髪の少年、サザルは切り出した。離れた場所(最初に陣取っていた席だ)に戻ったニノは…聞こえているのかいないのか。こちらに目もくれず、コップの中身をちびちびとやっている。「俺は、レイだ。商人をやっている」「私はヒバナ。魔法使いよ。ねえ?あなたも魔法使いよね。その杖…それにあなたのその瞳。どちらも、ひいじいの文献で目にした記憶があるわ」銀髪の青年・レイ、そして自身を魔法使いと名乗るヒバナの話を聞いても。ニノの関心は何処かへ行ったままだ。ちらりともこちらを見ず…遂には毒を吐いた。「お勉強だけ、幾らできたからってよ?魔法使いとは言えねんじゃね?ルーラもまともに出来ねぇ魔法使い?はっ、聞いたこたねーな」ニノの言葉に、レイが立ち上がりかけたが。それを制して、黒髪の少女が立ち上がった。「私は、オルテガの娘…ルティアです。お名前を聞いても良いですか?魔法使いさん?」黒い瞳に射るような強い意志を込めて。ルティアはニノに尋ねたのだった。