cross×時空間の果て×cross | ナノ

cross×時空間の果て×cross(5 / 65)

 
 ◇夜の自警団◇
 
 中に誘われた彼らは、皆一様に口を顎の関節限界まで開けて、驚きを示していた。

「あーら、初顔よねぇ? ぼさーと突っ立ってないで、座ったらどうなの!」

 口は、銜え煙草。右手には酒瓶。

 責っ付いたルイーダの足が銀髪の青年の尻にクリーンヒットした。男性なら何よりも守りたいであろう部分にまで響く衝撃。

 阿婆擦れルイーダさん流挨拶である。

「はっ、御愁傷様ってか。汚ぇ店だから遠慮すんだけ馬鹿みるぜ」

 ニノに促されて、釈然としない面々だったが、ひとまずは椅子へと腰を下ろした。

「この椅子、ヌメヌメしない?」

 そう言ったのは、黒髪の少女だ。

「ひっ!」

「どうした、女王様?」

「な、何でもないわ」

 硬直した美女の顔を見て、銀髪の青年は怪訝に眉を顰める。彼は全く気付いていないが、美女の足下を走ってゆくのは世界一嫌われているだろう、真っ黒の虫である。

 いまいち、状況が分からず目を泳がせている彼ら。無理もない……この世界のルイーダは客商売にあるまじき大の掃除嫌い。

 おまけに、かなりパンクな性格なのだ。
 

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