cross×時空間の果て×cross | ナノ

cross×時空間の果て×cross(4 / 65)

 
 ◇杜 夏月◇

「…あの。ちょっと待って下さい。今あなた、‘ルーラくらい失敗するな’って。言いましたよね?」

少年の前に庇うように進み出たのは、黒髪の。額に緑の宝石の金の輪を付けた…色は違えど、アリアハンの王が唯一。勇者と認めた者に与える証を付けた少女だ。
ニノにとって嫌われたくない―彼女に近い、真摯な視線が。
瞬間、彼の手を緩ませた。

解き放たれた少年は、ひそかにその手に宿らせていた、こちらの世界で言う聖風魔法。バギの発動を掻き消した。
その気配に気付いたのは、恐らくニノだけだ。
それを横目で流しながら、彼は少女に視線を向ける。

「…確かにオレにかかりゃ、ルーラの一発や二発…けどよ、あれ見ろ、あの行かず後家の鬼ヅラ。店ん中、あんたたちが来た時の振動で粉々のバラッバラッだぜ。ど〜すんだよ?」

「なら、俺が払う。足りない分は……ちょっと待て。その前に。ここは‘アリアハン’で。‘ルイーダの酒場’だよな?で、あの人がルイーダさんか?この店の主の?」

彼の仲間程の恐さはないが、迫力のある青い瞳に凄まれ。
取りあえず保身の為…ニノは空惚けて答える。
「てか。何当たり前の事、聞いちゃってっかな?…ま、確かに引っ掛かるっちゃ、引っ掛かるな。そっちのあんたの額飾り。世の中に一つっきゃない?お宝らしいからよ。ま、立ち話はなんだ。とにかく入ればいいんじゃね」

くいっと首を店の方に向け。
ニノは四人を店内へと誘った。
 

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