◇夜の自警団◇ 「くぅっ。なんでオレが、こんな面倒臭ぇことに付き合わなきゃなんねぇんだよ!」 毒づきながらニノ。大股で、お粗末なルーラをかました美女に掴み掛かった……。 ……と、思われたが美女の頭から爪先迄を値踏みする。瞬時に、美女の顔が笑いと怒りに乱された曖昧なものへと変わった。 何故なら、一見、端正といえる男の表情が嫌らしいスケベ面になったからである。「ふぅん、随分と美人ちゃんじゃないの。 つか、ルーラくらい失敗すんなっての」「えぇっ! なんで僕〜??」 そう、襟首を掴まれたのは美女では無く金髪の少年だった。“賢い”ニノが、自分より体格が勝る、銀髪男へ絡む訳がない。 また、女と雖も容赦しないのがニノなのだが、色恋に長けている彼は銀髪とただならぬ間柄だと、瞬時に見破ったのである。 消去法で、勝てそうな相手を“賢い”、悪く言えば……いや、正直に表現しよう。 “小狡い”ニノが勝てる、と見込んだ相手が少年しかいなかっただけに過ぎない。