03
「大体、なんで君までここにいるのさ。自分の家に帰りなよ、別に壊れてないんだろ、クーラー。」
そうなのだ、彼は家族でも何でもないんだから、暑ければ自分の家に帰ればいいのだ。
なのに、律儀にここにこうしてついてくる。
変なとこでかっこつけだ。
「まあ、いいだろ。気にするなって、俺が居た方が賑やかで楽しいだろ?
辛いときこそ、熱い友情だってことだな。」
「いろんな意味でさむい けどね。」
子供たちの声が蝉の声に混じって騒がしい。
隣の我が友人は何だかんだで楽しそうだ。
「たまにはいいかもね…」
暑いけど。
「っていうか、クーラー壊したのおまえんとこの母さんだろ。
いつも、何か壊してんのな。機械音痴なのかね、あれは。
ある意味才能だな。」
「君はあらゆる意味で音痴だけどね。
いい加減脱ごうか、制服。
見てるこっちが暑いよ。」
学校帰りで二人はまだ制服のままだ。
僕はネクタイも何もかも外しているのに彼はいまだにフル装備。確実に浮いているのだ。
「せっかく外出たから、汗、流そうと思って。
やっぱり時間は有意義につかいたいよな。」
「二回目だけど…君あらゆる点でかなり間違ってるよね。」
「そういうなよアンドレイ。ほら、子供たちが見てる。」
「だからお前をな。」
「ほら、お袋さん来たぞ!
はあい、ここですお母さん!!」
「もう、やめてくれ…。」
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