01
僕は滴り落ちる汗を感じていた。
喉はカラカラで悲鳴を上げていたし、髪なんてかぴかぴだ。
地面からはゆらゆらと熱気が立ち上っていたる。
イギリスの夏は比較的快適だというけれど、ここはまた別なのかもしれない。
少なくとも今の僕には納得行かない
周りは依然として忙しく、僕のささやかな不機嫌オーラを黙殺していた。
いたいけな少年にたいして酷過ぎる仕打ちだ。
11歳の僕はまだ辛うじて『少年』のカテゴリーに入るだろう
ゆっくりと足を曲げ伸ばししてみるが
太陽からは逃れようもなかった
ふてくされた僕に早足にやって来る男。
身長は高くもなく、低くもない。
こんなに暑いのによく何故かバッチリネクタイしてる
「ああ、なんて格好だ!まるでナメクジだな。」
開口一番それか。
「その方がまだいいよ。少なくとも服を着なくて済む。暑くてしかたないんだ!」
僕は着ていたシャツをパタパタと膨らませ、風を送り込んだ。
幾分かマシになったが、どうせすぐ暑くなる。
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