試験の結果は今回も優秀であった。俺の成績ではない、『彼』の成績だ。 「つまらねぇ、」 彼ことトム=リドルの成績は常に一番であり、なおかつ授業態度もよい。教授たちの受けも他の生徒とは比べものにならないくらい。だからたまに俺はそのハンサムな顔で色仕掛けを─ などと卑猥なことを考えていたりする。 結果俺は自分が二番に甘んじていることになんとか納得することにした。 成績を確かめたその足で図書室に向かうことにする。先日同級生から借りていた本をうっかり延長してしまった。 そいつは俺に詫びとして本を返して来いという。だれが好き好んで休日に図書室に行きたいものか。借りた本に目を落とす 『世界の美人魔女たち図解つき』 返しづらいこと この上ない 図書室には試験明けということで人もまばらだ。実についている。よし、あとはさっさとこの本と"おさらば"するだけだ。 俺は奥の本棚目指した。時折視界にうつる生徒たち。主にブルータイの真面目さん。 よくよく見るとその生徒は、かわいいと有名な女だった。男友達が騒いでいたのを覚えている。 しかしそれがいけなかった。女に気を取られていたせいで、出会いがしらに人にぶつかってしまった。相手は本に夢中だったらしく、こちらにきづいておらず、次の瞬間には、上から容赦なく頭に降り注ぐ、凶器。 謝らなくてはいけない。俺は本を拾って立ち上がり、愛想笑いを浮かべる。 「悪いな、前みてなかった…っておい。」 怒っているのか相手はこちらを一瞥するとすばやく本をうばい、一言も発することなく歩き出してしまった。いやいやいや。 遠ざかる背中。 性格上、だんだんと沸々込み上げてくるものがあった。ふざけんじゃねえ。こっちだって頭痛かったんだぞ。しかも自分もよそ見してただろう! 「おい、てめえ!」 リドル、と叫べば相手はなんだい。と抑揚なく返事をする。しかし足はよどみなく出口に向かって歩き続けており、こちらは空気扱いだ。 俺はクィディッチで鍛えた体を最大限にいかしてリドルに追いついた。 まわり込み息を整えて言った 「お前、ぶつかっておいてあれは無いだろ。」 「ああ、すまない。"アレ"を避けれない僕が悪かった。」 しかし口とは裏腹にリドルの顔は、というより態度はまるっきり馬鹿にした態度だ。ていうかこいつ── 「模範生だと聞いてたがとんだくわせ者だ。お前、授業とはえらくちがうんだな。」 「敬意や愛想をはらう相手は選んでいる。君には関係のないことだ。」 「馬鹿にしてんのか?」 「そう受けとってもらっても僕は構わないよ。」 怯むかと思えばあっさりと言い返して来るあたりには正直驚いた。いや、腹は立つけど。 思えばこんなに近くで話すのは初めてだ。まあこちらがグリフィンドール生ということもあるけれど。 ─身長は若干ではあるが俺の方が高い。 ─ルックスは奴の方が上、うん少し やはりムカつく。 気づけば図書室の視線はこっちに集まっていた。そして当然のように司書がやってくる。口煩くて有名な男だ。 しかし優等生リドルのことなら彼にも気にいられていることだろうから、大丈夫なのだろう。 その証拠にリドルは余裕の表情だし、まわりの生徒も(主に女子)リドルの肩を持っている。 つくづくついてない。 おいそこで睨んでるお前のせいだぞ、美少女。 「いったい何の騒ぎだね!レストレンジ、またお前かこの悪戯小僧!」 当然のように司書のおっさんは俺を疑う。いや、俺が悪いんだけれど。 しかし予想外というべきか、予想通りというべきか。 「いえ僕が悪いんですよ、先生。彼とは今話をしていて─」 リドルがしおらしく、かつ捏造した話をはじめた。これには俺も感服だ。 この時点でリドルは俺の『ホグワーツで一番ぶっ飛ばしたい男』になる。 しばらくしてまわりも彼の話術に納得した様だった。幸せなやつらめ。 「彼と僕はただ話を…そうなんです。騒がせてしまってすみません。」 「だったらいいんだよ、リドル。疑ってすまなかった。まさか君がレストレンジと友人だったなんてなあ。」 開いた口が塞がらない俺をリドルは勝ち誇ったように見てきた。 周りも驚きながらも納得している。トムは誰とでも仲良くなれるの、なんて声も聞こえてくる。 「冗談じゃねえ。誰がてめえみたいな似非紳士とダチになるか!」 ──とここで叫けぶことは簡単だ。 造作もないがそれでは確実に罰則だ。 しかし俺もやられっぱなしじゃ帰れない。 実はそうなんです、こいつとは友達なんです。と俺はリドルの肩に手をまわし引き寄せた。驚くリドルをしり目にあえてもう一度たずねる。 「今日もここで会う約束をしてたんだよな、相棒?」 リドルはわけが分からないという顔をしながら一応肯定の返事をした。まあ自分から友達宣言しているし。 俺は返事を聞くとすばやくリドルの持っている本の山に手を突っ込んだ。 イエス、ある。 俺は高らかに言った。 それはもう、響いたとおもう。図書室中に。 「"これ"貸す約束してたんですよ。じゃあ、読み終わったら感想よろしく。ちなみに俺は百四十ページのビビアンちゃんがタイプだったな。」 そういうと俺は世界の美人魔女図鑑をすばやくリドルの腕にねじ込んだ。 「ではごきげんよう、さようなら」 そしてあ然とするリドルを残し、俺は図書室を後にしたのだった。 (トム?) (あいつは絶対僕が殺す!) (え?) (ああ、こっちの話。) **** はい、苦情受け付けます。5000hitリクエストです。リクエストは学生リドル×男主でしたがまさかのくだらなさ。 激しくリクに沿えてませんね。すみません。リドル書けません。いつか書き直したいです。 男主はアホの子です。初期の連載主の性格設定はこんな感じでした。 見捨てないでください。 白井様に捧げます。リクエスト有難う御座いました。 |