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春の一興
暖かくなったな、と突然隣から囁くもんだから、僕はびっくりして舌を噛んでしまった。





「おやまあ、大変」





ひーひーと二酸化炭素を出しまくって爪先立ちで談話室を駆け回った。



同級生は皆さん見てくるし。嫌だ嫌だ




治療の魔法はないのな、基本的に。あれば、あっという間にこいつに"コピーして貼り付ける"のに。





「あっ、アンドレイ、いま物騒なこと考えたろ。
顔に出てましたよ」





「へぇ、僕何気にポーカーは得意分野ですよ。」



そう言って済まして紅茶を啜ると、舌に滲みた。





「あっ、アンドレイ見ろよ、クディッチしてる。いいなあ、スリザリンは。」



窓から見える競技場には緑色のマフラーがクルルと風に舞っていた
それをピクシー妖精のように叩き落とせたらどれだけ気持ちいいだろう


いつも見下げたようにこっちを見てくる意地の悪い奴ら。



「うわぁ、またグリフィンドールと喧嘩してるよ。本当にこの寮で良かったなあ」


ああ、でもいきたいなあという彼にとどめを刺そうと思う




「残念ながら、先輩クディッチできないよね」



隣の男はまず箒乗れないはず。どうしても、って時は僕が柄を引っ張って上昇してる。
その時も"きゃー"と棒読みの悲鳴あげてるし。




「それは言わねぇって話だぜ。だって俺たち"マグル"出身!…あと女子にモテそうだしな。」




「動機不純過ぎ、アウト。」



「お前は、女の子にモテたいとか思わないんだ」



「…別にふつう」


 言いよどむ僕にあっさり、そう、というとバンッと勢いつけて隣の男は立ち上がった。


またみんなこっち見てくるよ。やめようよ、いい加減。まあ慣れたけどね。




「じぁ、競技場行くか。」




「は?だってほら、喧嘩してるし。」




赤と緑色が入り乱れて飛んでとてもじゃないけど入れない。はっきり言って場違いもいいところだ。



「なあに、心配するな。いざという時は、クソ爆弾投げて逃げりゃあいいのさ。」




「余計行きたくないです。先輩。」




しかし、臆するな、続けっと言って彼は駆けていってしまった。



手ぶらで行ってだれの箒使うつもりなのかね。


取りあえず二人分のマフラーと帽子を持って席を立った。







黄色のそれは陽気な太陽の色をしていたけど、彼のいった通り何とかなるかもしれないと思った。








「げっ、マルフォイがいる。帰ろ。」



「ふざけるな、言い出しっぺ。ほら、いく。」





後ろから、きゃー、と野太くて単調な声が聞こえたけど、知らない振りをして、どこまでも僕達は春の空をたかくのぼっていった







(ハッフルパフ万歳!)


(うるさい、舌噛んだじゃないか!)

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