金緑 | ナノ
 部屋中を包む、異様な寒気に目を覚ました。
 手足の先まで、死人のように冷え切っている。空気は緩やかに、しかし確実に、冬へと移り変わろうとしているのだ。グリーンは大きく身震いし、そこで現在自分自身が一糸纏わぬ、生まれたままの姿でいることに漸く気がつき、頬を赤く色づかせた。情け程度に薄手の毛布が被せられてあるものの、これでは必要以上に体温を奪われてしまうのも仕方ない。さらに、追い打ちをかけるように太ももを伝う白濁色の昨晩の名残に、いよいよ羞恥と憤怒に拳を震わせた。
「……ッ、お前……!」
 原因など言わずもがな、隣で呑気に間の抜けた寝息をたてる男であるわけで、グリーンはこみ上げる苛立ちのままに、血色の良い頬を、それはもう無遠慮につまみ上げるのだった。
「い!?いひゃ、いひゃいれすってグリーンへんひゃい!」
「目は覚めたか」
「……もっと情熱的に起こしてくれりゃ、大喜びなんですけどね」
 赤みを帯びたそこを庇いながら、ゴールドは寝ぼけ眼を瞬かせる。
「どしたんスか、朝からご機嫌斜め?」
「誰のせいだろうな」
「俺のせいッスね!」
 満面の笑みで、即答。怒鳴る気力を失わせるのは、ゴールドの得意分野だった。もはや溜息すら出てこない。ずきずきと頭が痛むのは、決して体調不良のせいではない筈だ。
 近くには見当たらない衣服に思いを馳せながら再び毛布にくるまろうとすると、それよりも早くにゴールドの腕がグリーンを抱き寄せた。
「何のつもりだ」
「いや、こうした方が暖かくないスか?」
「そんな気遣いは構わないから服を取ってこい」
「それは嫌ッス」
 より強い力での抱擁に、グリーンは静かに息を吐く。
 暑いくらいだ、そう呟けば、密着した距離から直ぐに口づけが返ってきた。夜が明けるまで、もう少し。
指先から感染

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