暑さで少しばかりいかれた頭で、どうしてこんな事になったのか考えてみる。 いつものように、僕が彼の家をふらりと訪れて。彼は物凄く嫌そうな顔をしながら、それでも渋々中へ入れくれて。 いつものように、他愛ない話をしながら酒を飲んだ。 仕事の話をして、互いの上司の話をした。 報われない者同士蔑みあって、少しだけ険悪な空気が流れた。
そして――そして。
ただただ、乱暴に貫かれる。 ふらふらと頼りなく揺れる己の脚が視界に入り、その様が何とも滑稽だった。 心の在処など分かるはずもない。何故、僕を抱くのかなんて。 女とする時はもっと優しいのだろうか、と思った瞬間、何故か見た事もない相手に激しく嫉妬した。
「青木さん、青木さん、青木さ…」 「少し、」
中途半端に間を置くのが彼の常套手段で、その後に続く言葉は大抵決まっている。 感情の籠もらない声で言う。
「少し、黙ってくれないか」
いつもそうだ。僕達は何もかも分かったような顔をして、無意味な行為を繰り返す。 本当は何も理解しちゃいないくせに。どうしてこんな気持ちになるのか、知ろうともしないくせに。
「青木さん―――」 「…何だい」
僕達は一体どこへ行き着くんでしょうか?
end.
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