「あきお」 呼ばれなれない呼ばれ方に一体誰か、と眉をひそめる。呟いた訳ではなさそうなのできっと呼ばれているのだろう。 首だけを使って声の主を見る。色素の抜けた細い糸のような髪の毛を胸元まで伸ばし、右目を覆う眼帯。見える瞳は太陽のような色、深みを伴う色に引きずり込まれてしまいそうだ。 鬼道ちゃんに言わせると、気が利くいい奴。だそうだが、オレに言わせれば裏から支配しようと企んでるような奴だ。(単純に信頼されてないだけだろうが。) そう。オレを名前で呼びつけたヤローはこいつ。佐久間次郎だった。 「きもちわりぃな。何か用??」 「呼んだだけだ」 「はぁ?」 ほら。何か考えがあって呼びつけたであろうのに、あっけらかんとしてやがる。一体なんだってんだよ。 「気になっただけだから気にするな。じゃあ」 そう言って踵を返す佐久間。 色々言ってやりたがったが、その背中を見送るだけになってしまった。気になるって、なにがだ。それが気になってしまう。 「あぁ、そうだ」 何かを思い出して顔を上げる佐久間。髪を靡かせて振り向くと、妖艶な笑みを浮かべてオレを見つめた。(いや、睨んだのか?) 「俺には源田がいるから。」 「なっ…!!」 あまりの事に阿保な声をあげてしまう。 コイツはオレが勘違いするとでも思ったのかよ。 [オレには鬼道ちゃんがいるから] なんて言えるはずもなく、幼稚な言い回しで反撃すると、アイツは低く笑いながら右手をひらつかせて行ってしまった。 アイツは本当に分からない。 ただただオレを苛つかせるだけだ。 「不動」 聞き慣れた声に目をやると、鬼道ちゃんが立っていた。 「何をしているんだ」 「あー…泥棒に会った。」 (アイツが望むものは) (俺の望む場所だから) 【欲望強奪犯】 ****** 突発的すぎました。← 意味不明。 Back . |