「なんだ。これは。」

「は?鬼道ちゃん、ミサンガ知らねえの?」


そう。ミサンガだ。
それは、見れば分かる。きっと誰でも分かるだろう。


「知っている。ミサンガは夢を願いながら"自分で"結ぶモノではないか?」


俺の手首のサイズに合わせて結んでいるのは紛れもなく、目の前の不動なのだ。


「鬼道ちゃんの夢はオレの夢。」

「それは…口説き文句か?」

「ふっざけんな、タコ」


はい。とミサンガを堅く結んだ不動が顔をあげる。さっきの会話のせいか、ほんのり色付いた頬が愛おしい。
手首に目を落とすと、藍色と淡い水色で編まれたミサンガが、しっとりと存在を誇張していた。


「ほら、」


そういって挙げられた不動の手首。
白くて細いそこには、全く同じ色合いのミサンガが結ばれていた。


「お揃い。」


俺の言葉を待つ顔は、ミサンガの向こう側でニヤニヤと口端をあげている。
本当に、イヤミな奴だ。
内心そう呟いて、手を伸ばす。掴んだ後頭部で不動を近付けて。あがったままの口端に舌を向けた。









(お前といつまでもサッカーが出来ますように)


【俺とお前とミサンガと】




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