▽イナGOネタバレ有








それは突然目の前で起こった。


突然、ほんとにいきなり
先輩は監督に退部を言い渡した。
俺はそれを目の前で見ていることしか出来なかった。
なんで?どうして?と頭の中に浮かぶ疑問。
そんな俺をよそに先輩は退部を監督に言い渡すとすぐフィールドを後にした。
俺は慌てて先輩の後を追った。

部室の扉を開けると先輩がいた。
ユニフォームを脱いでロッカーを片付け始めていた。

「先輩」
「なんだよ」
「ほんとに、やめるんですか?」
「…やめるよ」

先輩は俺の顔を見ないまま淡々と俺の質問に答える。

「なんで…」
「逆らってばっかだと内申に響くだろ」
「でも、先輩…南沢さんサッカー好きだったでしょ!」
「……」

ガタガタとロッカーの物を取り出していた先輩の動きが止まる。
沈黙が2人の空間を支配する。
先輩は手にユニフォームを握っていた。

雷門の10番。俺にとって憧れの番号。

ユニフォームを握る手をしばらく見つめていると先輩が突然口を開いた。

「お前、サッカー好き?」
「…好きでした…」
「でした?なんだそれ。」
「…俺は、あんたが隣にいないサッカーなんて嫌だ」
「…あぁ。そうか…」

先輩のユニフォームを握る手に力が入った。
うつむいていて表情は見えないけどなんとなくわかる。

きっと泣きそうな顔をしている。

俺には絶対見せたくないんだろうな。
なんて考えながらじっと先輩を見つめる。

「あんたは、サッカー嫌いになったんすか…」
「…さぁ…どうだろうな。」
「……」
「たださ、」
「?」

「俺も、お前が隣にいるサッカーは好きだった…。」


顔を上げた先輩は笑っていた。
泣きそうな顔して笑っていた。


「っ…俺、あんたのサッカーは好きでした。」
「あぁ、知ってる。」
「でもっあんたのことは…大嫌いだ…」
「あぁ、知ってるよ。」

それだけ伝えて俺は部室から出た。
扉を閉めたら涙が溢れた。


俺は、あんたとのサッカーは失いたくなかった。
あんたのサッカーは俺の憧れだった。
あんたと2人でFWやれることが嬉しかった。

南沢さん…

俺、あんたのこと…















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ずっと書きたかった南沢の退部ネタ
切ない倉南が好きだ













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